anniversary paper cup
2016:プロダクトデザイン、パッケージデザイン
紙コップに紅白幕を描いた「おめでたい紙コップ」は、デザインコンペTokyo Midtown Award 2016で、準グランプリをいただいた思い入れのある商品です。また、デザインのおもしろさをあらためて感じさせてくれたプロジェクトでもあります。
Tokyo Midtown Awardは、2008年から東京ミッドタウンが開催しています。毎年テーマを決め、自由な発想でデザイン案を募り、受賞作には商品化に向けたサポートを行っています。このアワードをきっかけに生まれた「富士山グラス」や「歌舞伎フェイスパック」などのユニークな商品を、目にしたことがある方もいるのではないでしょうか?
すでに販売されている商品の審査や、特定のプロダクトの企画提案型コンペが多いなか、このA3の企画書1枚で勝負するという自由度の高さに驚くとともに魅力を感じていました。「デザイナーとしての発想力を試したい」と思い、このコンペに5年間、泥臭く出し続けました。
2016年のテーマは「Anniversary」でした。「お祝い→紅白……」「お祝い→乾杯……」と、連想ゲームのようにいろいろと考えていたとき、たまたま部屋にあった白い紙コップが目に入りました。そこで、売店でもらうようなストライプ模様のものを思い出しました。
乾杯する紙コップが紅白幕のようなデザインだとどうだろうか……。日本人であれば、紅白を見たらきっとおめでたいムードを感じてもらえるはずだ。そのコップをいくつか並べたら、空間にささやかなお祝いの雰囲気を生み出せるし、コップとしての機能も満たすことができる。なにより紙コップは、大人も子どもも、お金持ちの人もそうでない人も、どのような人も使う機会があるプロダクトです。「これならいけるかもしれない」と確信しました。
審査員は、デザイナーなら誰もが知っている佐藤 卓さんや原 研哉さん、水野 学さん、小山薫堂さん、柴田文江さんなど錚々たるメンバーでした。そうした方々から、「ありそうでなかった」「文句なく、めでたい感じが出ている」とコメントをいただけたのは、素直に嬉しかったです。この賞による商品化をきっかけに、その後、グッドデザイン賞も応募・受賞することができました。また、こうした一連の出来事をさまざまなメディアに取り上げていただいたことで、デザイナーとしての仕事の幅を広げるきっかけにもなっていきました。
★Tokyo Midtown Award 2016 デザインコンペにて準グランプリを受賞
★グッドデザイン賞受賞
★JAGDA Graphic Design in Japan 入選(with This One!)
※おめでたい紙コップは、現在は生産を終了しています
撮影:脇屋 伸光[ヤナギヤワークス]